【初学者向け】サーバーレスを学ぶための実践演習5
演習5: Lambda + SQSキュー
Contents
はじめに
- Lambdaは、AWSが提供するサーバーレスのコンピューティングサービスです。前回に引き続き、Lambda を基礎から学習するための演習を発信します。Lambdaを初めて使う方は、演習1からお読みください。
- 今回の演習では、Amazon SQS(Amazon Simple Queue Service) 使用します。SQS は、フルマネージド型のメッセージキューイングサービスです。キューイングはいわゆる待ち行列のことです。キューイングを使用することで、AWS上の分散アプリケーションが疎結合で構成できます。アプリケーションがこれから処理する内容を一度キューに溜めることができ、順次任意のタイミング(非同期)に取り出して処理ができます。
- SQSをトリガとして使用するパターン, SQSにポーリングして使用するパターンを記載しています。ぜひ楽しんで、学んでください。
演習5 Lambda+SQSキューのステップ1
概要
- ステップ1は、SQSキューをトリガにしてLambdaを起動させます。Lambda は、単純にSQSキューから受け取ったメッセージをCloudWatch Logs に出力します。
- 前提条件として、事前にLambdaの実行ロールを準備します。ロールには、下記のポリシーをアタッチします。
- AWSLambdaBasicExecutionRole
- AmazonSQSFullAccess
システム構成
- 本演習ステップ1 のシステム構成は、下記の通りです。
- ステップ1 は、AWS CLI を利用します。
構築してみる
SQSキューを作る
- 先ず、Lambda のトリガに使用するSQS キューを作成します。以下の例はAWS CLI を利用していますが、AWSコンソールを利用しても良いです。AWS CLI を利用する場合は、事前にアクセスキーを設定する必要があります。アクセスキーの設定は、こちらを参考にしてください。
niikawa@niikawa1:~$ QUEUE_NAME=niikawa-test-queue
niikawa@niikawa1:~$ aws sqs create-queue --queue-name ${QUEUE_NAME} --region ap-northeast-1
{
"QueueUrl": "https://ap-northeast-1.queue.amazonaws.com/111111111111/niikawa-test-queue"
}
Lambda を作る
- 次に、Lambda 関数を作成します。Lambdaのコンソールを開き、一から作成します。関数名(例: niikawa-test-sqs)を入力、ランタイム(今回はPython 3.9とします)、先ほど準備した実行ロールを選択します。
- Lambda関数が作成されたら、下記のコードを利用します。コードを貼りつけ、[デプロイ]を押します。このコードは、こちらのドキュメントに記載のサンプルとなります。
from __future__ import print_function
def lambda_handler(event, context):
for record in event['Records']:
print("test")
payload = record["body"]
print(str(payload))
Lambda にトリガを設定する
- 次に、Lambda にトリガを設定します。「トリガーを追加」を選択、トリガーのソースに「SQS」、SQS キューに先ほど作成したSQS キューを指定、トリガーの有効化を選択します。「追加」を押します。
テストしてみる
- AWS CLI からSQSキューにメッセージを送信します。SQSキューをトリガにして、Lambdaが起動します。
niikawa@niikawa1:~$ QUEUE_URL="https://ap-northeast-1.queue.amazonaws.com/111111111111/niikawa-test-queue"
niikawa@niikawa1:~$ aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello from SQS!" --region ap-northeast-1
{
"MD5OfMessageBody": "7b270e59b47ff90a553787216d55d91d",
"MessageId": "a5b97bfd-3707-4036-b832-03d38a4a3f66"
}
- CloudWatch Logs のログストリームを確認します。テスト時に送信したメッセージが出力されました。
- これでステップ1 は、完了です。
演習5 Lambda+SQSキューのステップ2
概要
- ステップ2は、Lambda が起動すると、SQSキューからメッセージの取得を行います。Lambda は、SQSキューから受け取ったメッセージをCloudWatch Logs に出力します。
- ステップ2は、トリガを使用しません。
- 前提条件として、事前にLambdaの実行ロールを準備します。ロールには、下記のポリシーをアタッチします。
- AWSLambdaBasicExecutionRole
- AmazonSQSFullAccess
システム構成
- 本演習ステップ2 のシステム構成は、下記の通りです。
- ステップ2 も、AWS CLI を利用します。SQSキューは、ステップ1 で作成したリソースを使用します。
構築してみる
Lambda を作る①
- Lambda 関数を作成します。Lambdaのコンソールを開き、一から作成します。関数名(例: niikawa-test-sqs-rcv)を入力、ランタイム(今回はPython 3.9とします)、実行ロールを選択します。
- Lambda関数が作成されたら、下記のコードを利用します。コードを貼りつけ、[デプロイ]を押します。
- receive_messages は、指定されたキューから1つもしくは複数のメッセージを取得します。Return type はdict型になります。for文で出力した後、メッセージの削除を行っています。
import os
import boto3
name = os.environ['queue_name']
sqs = boto3.resource('sqs')
queue = sqs.get_queue_by_name(QueueName=name)
def lambda_handler(event, context):
message_list = queue.receive_messages(MaxNumberOfMessages=10)
for message in message_list:
print(message.body)
message.delete()
- 環境変数 queue_name に、SQS キューの名前を登録します。
- 動作を確認するため、AWS CLI からSQS キューにメッセージを送信します。
QUEUE_URL="https://ap-northeast-1.queue.amazonaws.com/111111111111/niikawa-test-queue"
aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello 1" --region ap-northeast-1
aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello 2" --region ap-northeast-1
aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello 3" --region ap-northeast-1
aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello 4" --region ap-northeast-1
aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello 5" --region ap-northeast-1
- [Test] ボタンを押し、Lambda を起動します。"Hello 1″から"Hello 5″ のメッセージが計5件が出力されると期待しましたが、メッセージは2件しか表示されませんね。
- ドキュメントには、下記の記載があります。MaxNumberOfMessages は、返されるメッセージの最大数ですが、返されるメッセージが少ない場合もあります。
- MaxNumberOfMessages (integer) — The maximum number of messages to return. Amazon SQS never returns more messages than this value (however, fewer messages might be returned). Valid values: 1 to 10. Default: 1.
Lambda を作る②
- 下記のコードに変更します。コードを貼りつけ、[デプロイ]を押します。
import os
import boto3
name = os.environ['queue_name']
sqs = boto3.resource('sqs')
queue = sqs.get_queue_by_name(QueueName=name)
def lambda_handler(event, context):
while True:
message_list = queue.receive_messages(MaxNumberOfMessages=10)
if message_list:
for message in message_list:
print(message.body)
message.delete()
else:
break
- 動作を確認するため、AWS CLI からSQS キューにメッセージを送信します。
QUEUE_URL="https://ap-northeast-1.queue.amazonaws.com/111111111111/niikawa-test-queue"
aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello 1" --region ap-northeast-1
aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello 2" --region ap-northeast-1
aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello 3" --region ap-northeast-1
aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello 4" --region ap-northeast-1
aws sqs send-message --queue-url ${QUEUE_URL} --message-body "Hello 5" --region ap-northeast-1
- 再度、[Test] ボタンを押し、Lambda のテストを行います。今回は、"Hello 1″から"Hello 5″ のメッセージが計5件が出力されました。
演習5 Lambda+SQSキューのステップ3
概要
- ステップ3は、ステップ2 の継続となります。SQSキューにメッセージを送信するためのLambda を作成します。そして、ステップ2 で作成したLambda のトリガにEventBridge を設定します。受信用のLambda をスケジュールで起動させます。受信用のLambda は、SQSキューからメッセージを取得してCloudWatch Logs に出力します。
- 前提条件として、事前にLambdaの実行ロールを準備します。ロールには、下記のポリシーをアタッチします。
-
- AWSLambdaBasicExecutionRole
- AmazonSQSFullAccess
-
システム構成
- 本演習ステップ3 のシステム構成は、下記の通りです。
- ステップ2でAWS CLI を利用していた処理を送信用Lambda として作成しています。ステップ2 のLambdaが受信用Lambda となり、トリガにEventBridge を設定しています。
構築してみる
送信用Lambda を作る
- Lambda 関数を作成します。Lambdaのコンソールを開き、一から作成します。関数名(例: niikawa-test-sqs-snd)を入力、ランタイム(今回はPython 3.9とします)、実行ロールを選択します。
- Lambda関数が作成されたら、下記のコードを利用します。コードを貼りつけ、[デプロイ]を押します。
import os
import boto3
name = os.environ['queue_name']
sqs = boto3.resource('sqs')
queue = sqs.get_queue_by_name(QueueName=name)
def lambda_handler(event, context):
entries = [{'Id' : '{}'.format(i+1), 'MessageBody' : 'Hello {}'.format(i+1)} for i in range(3)]
response = queue.send_messages(Entries=entries)
print(response)
- 環境変数 queue_name に、SQS キューの名前を登録します。
受信用Lambda にトリガを設定する
- ステップ2で作成したLambda(例: niikawa-test-sqs-rcv)を選択します。
- 「トリガーを追加」を選択、トリガーのソースに「EventBridge」、ルールに「新規ルールの作成」、ルール名の指定、ルールタイプに「スケジュール式」、スケジュール式にcronまたはrate 式を使用したスケジュールを指定します。「追加」を押します。
テストしてみる
- 送信用Lambda にて、[Test] ボタンを押し、SQSキューにメッセージを送ります。
- SQSキューに、テスト用のメッセージが送信されました。CloudWatch Logs からログを確認します。
- 受信用Lambda のトリガに設定したスケジュールを待ちます。
- EventBridge に設定したスケジュールをトリガにしてLambda が起動しました。CloudWatch Logs からログを確認します。SQSキューからメッセージを取得し、ログに出力されました。
参考資料
バックナンバー
- 【初学者向け】サーバーレスを学ぶための実践演習1
- 【初学者向け】サーバーレスを学ぶための実践演習2
- 【初学者向け】サーバーレスを学ぶための実践演習3
- 【初学者向け】サーバーレスを学ぶための実践演習4